白猫しーちゃんの想い出

寝たきりの美猫しーちゃんの記録

しーちゃんの発病(4)

2022年4月21日。

 

やや調子が悪いものの、一応、状態を維持しているしーちゃん。とはいえ、ここ数日はめっきりと食欲も減り、食べさせるのに本当に難儀していました。少し前は、鮭などを焼くと喜んでかぶりついてくれたのですが、ここ数日はそれすらも、なかなか食べてくれない日が続きました。

 

この日の午後、夫婦で買い物に行き、帰ってから夕食までの間、居間でのんびりしていました。しーちゃんも我々が寛ぐ場所から手が届くところにある、自分のベッドで休んでいました。

 

そして、18時5分頃だったと思います。

突然、しーちゃんが身体を硬直させ、ブルブルで震え、目をかっと見開き出しました。呼吸や動悸はこれ以上ないほどに激しくなり、「なぁー!」と、聞いたこともないような、激しい唸り声をあげています。

 

「けいれん発作だ!」

 

すぐに気が付きました。以前に飼っていた、くろ丸という猫が、最期、激しいけいれん発作を起こし、そのまま亡くなったこともあり、また、腎不全も末期になると毒素の影響でけいれん発作があることを読んでいたので、すぐに分かりました。本当に苦しそうにしている、しーちゃん。恐らくは意識もなくなっているのでしょうが、かわいそうでなりません。そして、このまま逝ってしまうに違いないという思いも頭をよぎり、絶望的な気持ちに襲われました。

我々にできることはなく、ただ、収まることを祈るしかありません。3分から5分程度続いた激しい発作は一旦、落ち着きますが、依然として、身体は硬直し、呼吸は激しいままです。

 

幸運なことに、この夜、掛かっていた往診医がたまたま、輸液のお届けに来てくれるという予定になっており、慌てて電話を掛け、早めに来てもらい、対処していただけることになりました。発作の30分後位に到着され、早速、けいれん止めを投与してもらい、少し落ち着いてきました。ともかく、このひどい痙攣で命を落とさずに幸運だったと思います。

ただ、発作の再発の危険は変わらないままで、不安の中、翌日を迎えることとなりました。また、この大きな発作で、恐らく脳にダメージを受けたようで、二本の足に全く力が入らなくなってしまいました。

 

翌日、歩けなくなってしまったしーちゃんは、それでも歩こうと必死に動きます。我々は、力の入らない下半身を支え、しーちゃんの行きたいところに、一緒に動いていきます。中腰で、しーちゃんの胴体を支えながら移動するのは、なかなか重労働です。でも、しーちゃんの動きたいという意思を支えてあげたいと思いました。

発作直後でしたので、この日も日中、往診医が来てくれることになりました。そして、この往診中にも軽いけいれん発作が出ましたが、この時は、けいれん止めを迅速に投与したことも功を奏したのか、大きな影響はなかったようです。

 

そして、さらにこの夜。下半身がなかなか立たないので、おしっこを床などでしてしまっていましたが、この時も、居間でおしっこをしてしまいました。22時半頃だったと思います。そして、おしっこした場所から、クッションに移動させてあげたところ、これは発作での失禁であることに気づきました。最初のけいれんほど激しくはないものの、やはり手足を硬直させています。

それが10分程度続きましたので、すぐに対処しなければと思いましたが、このような夜間であり、その時のかかりつけの往診医では対応できません。予め調べておいた、夜間対応の往診や病院に連絡し、車で15分ほどの夜間救急に運ぶことになりました。そして、車を飛ばして、23時頃には、診てもらうことができました。

正直、救急病院に運ぶ時、夫婦の間ではほぼ絶望的な気持ちになっていました。再三の発作で、意識もなくなり、もしかしたら、苦しい思いをしているかもしれません。このまま亡くなってしまうことも覚悟していましたし、安楽死を勧められるかもしれない。最期を看取るつもりで、病院に車を飛ばしていました。

 

意識はほとんどないようでしたが、手足を盛んに動かす、遊泳運動が続いていました。これはけいれんの発作です。救急病院では、発作を抑える薬を投与するとともに、ゆっくりと深夜まで輸液を投与することを提案されました。我々は、深夜3時まで、コインパーキングに停めた車内で、仮眠を取ることとなりました。

救急病院では、発作があまり強くないということで、それほど強くない薬を投与するということをお話されていました。それを聞いて、その時は「そんなに重大な症状ではないのかな?」と思いましたが、今から考えると、「呼吸が止まってしまう危険もあるほどの抗けいれん薬の投与は必要ない」というようなニュアンスだったのかもしれません。

 

いずれにせよ、深夜、しーちゃんは我々の手元に帰り、帰宅となりました。

しかし、そこで再会したしーちゃんは、驚くような、悲しい状態になっていました。(つづく)