白猫しーちゃんの想い出

寝たきりの美猫しーちゃんの記録

しーちゃんのいま(2022年5月11日)

しーちゃんは5月初旬から急速に衰えをみせています。5月の3日、4日あたりはまだなんとか少しは歩けたのかもしれませんが、それも難しくなり、ひとつひとつ、できないことが増えていっている感じがします。

 

5月6日に検査をし、それに伴い、7日に薬を追加するなど、新たな方針で闘病していこうとしていましたが、8日にはさらに血便が重なるなどで、衰えは著しく、往診医さんからは、酸素不足の苦しみを取り除けるよう、酸素室を提案されました。

 

正直、末期に及んで、狭い部屋に閉じ込めるなど、避けたいことでしたが、それによって本人の苦しみが少しでも和らぐなら、と、取り入れることに決めました。そして、早速、8日の日曜日から酸素室に入ってもらうことにしました。

 

これだけ衰弱してくると、正直、どこまで医療の力を借りるべきものなのか、疑問にも思えてきます。ただ、決して延命をしているわけではなく、「生命の火が消えるまで」、できる限り、苦痛を取り除いてあげよう、という、終末期医療を専門とする往診医の方針に同意し、それに沿って、しーちゃんを看取っていってあげようと、決断しました。

 

とはいえ、ずっと奇跡を起こしてきたしーちゃんですから、「もしかしら」という思いもなくなったわけではありません。酸素室が魔法を起こしてくれるのでは…と、一抹の望みに賭ける気持ちもありました。そして、その夜、翌日と、酸素室に入ってもらいました。

昔のしーちゃんであれば、自由気ままを愛する子だったので、すぐに出たがったでしょう。ですが、すでに弱っていたしーちゃんなので、大人しく入っていてくれました。丸一日ほど入りましたが、残念ながら、奇跡が起こることはありませんでした。

 

翌日あたりになってくると、さらに衰弱しているように見えます。少し前までは、水は自分でそれなりにたくさん飲んでくれていたのが、飲むのも辛そうに見えます、当然、ご飯を食べることはありません。幸い、血便はあれ以来、見なくなりましたが、逆に若干の血尿が出始めたりしました。また、非常に薄かった尿が、この頃には、かなり濃い色になってきました。これも恐らくは、良い現象ではないのでしょう。

正直、輸液するのも怖く、「輸液の刺激で、心臓や呼吸が止まってしまうのでは?」と心配になり、先生に相談もしました。一応、尿も出ており、そこまで危険な状態ではないと判断されたのか、薬はそのままで、輸液量を半分にすることに決めました。

 

「もう一両日中か…」と覚悟をしていましたが、しーちゃんはここでも、少しの奇跡を見せてくれました。

 

それは昨日(2022年5月10日)のことです。日中、妻が携帯で電話をしていました。しーちゃんは、もともと不思議なところがあり、人が電話をしていると、傍らでさかんに鳴くという癖がありました。かわいいのですが、少しうるさく、相手によっては少し恥ずかしくなります…。

そして、妻が電話をしている時に、もうあまり反応しないだろうと思っていたしーちゃんを側に連れて行ったところ、盛んに鳴くではありませんか!もうほとんど朦朧としていて、反応も薄いしーちゃんですが、以前のような反応を見せてくれ、夫婦でとても喜びました。

 

そして、もうひとつ奇跡を見せてくれました。

それは、その日の夕方、少し用事で出かけた際、ふと、「マグロ食べたりしないかな」と思いました。もう絶対に食事は無理だろうと思いましたが、駄目元で買ってみることにしました。そして、それを細かく、食べやすくし、出してあげたところ、なんと!すごい勢いで食べようとするではないですか!残念ながら、もうそれほど食べることは難しいようで、食べたのはほんの僅かな量でしたが、ともかく、食べてくれたことが本当に嬉しかったです。しーちゃんの生命の火はまだ消えていない、そうはっきり思いました。

 

youtu.be

 

翌朝もマグロは少し食べてくれましたが、もう夜には食べてくれなくなりました。5月11日段階では、水を自分から飲むのも難しく、一応舌は少し出ますが、飲ませるのも一苦労なので、食べるのはもう無理になってしまったと思います。

 

5月9日中くらいまで酸素室に入れていましたが、少し出たそうだったので、10日には出してあげることにしました。一応、チューブを鼻元に寄せて濃度の濃い酸素を吸えるようには、配慮しました。夜は、妻の傍らで寝ると安心するようなので、そうしてあげることにしました。

10日、11日あたりは、もうほとんど動かない状態です。ただ、横になるのは辛そうで、身体を起こさせて、両脇と頭の下にクッションを置いて、支えにしているような状態です。そのままにしていると、ほとんど反応もありません。とはいえ、抱っこしてあちこち動くと、頭を動かして、動くものを見たりしているので、意識はそれなりにはっきりあるのかなと思います。

 

また、この両日あたりには、面白い反応もありました。

それは私や妻が、しーちゃんの側からいなくなって少しすると、声を出して呼ぶようになったのです。特に妻がいないととても寂しいようで、呼ぶようになりました。昔から、少し寂しがり屋のところもあり、寂しくなると私を呼びにきたりしていましたが、いまはそれが特に顕著になっているような状態です。寂しいのか?なにか不安なのか?、とてもかわいそうな感じもしますし、愛おしいような反応でもありました。

そして、その声は、以前の、女の子の声だけれど結構大きくて太い声だったしーちゃんが、まるで子猫のようなか細い声になっていたのです。

その変化は、もう先があと僅かなのを感じさせて、切なくもあり、また、まるで、子猫に戻ってしまったようでもあり、本当に愛おしいものです。

 

介護も長くなり、大変にはなってきていますが、子猫に戻ってしまったようなしーちゃんも、本当にかわいく、できるものなら、この時間が少しでも長く続いてほしい、そう思わずにはいられません。

 

ひなたぼっこするしーちゃん