白猫しーちゃんの想い出

寝たきりの美猫しーちゃんの記録

しーちゃんとの出会い

2004年の春。当時住んでいた江戸川区のマンション。

「ペット猫のみ可」という、あまりない触れ込みに興味を持ち、住み始めたが、やはりそういった条件を出すくらいなので、家主も猫好きらしく、外猫が多く、マンション周囲には出入りしていました。さまざまな猫が出入りしていたが、よく現れる猫は、しばらく住んでいると見当がつくようになってきた。

そんな中、あまり見かけない一匹の猫が、突然姿を現したのでした。

 

薄汚れた、グレーの混ざったような色の猫。首には、ぼろぼろの首輪を付け、顔を見ると鼻先に少し傷が。外でいじめられたのかもしれない。ただ、人にはとても懐っこく、ほかの外猫たちといっしょにマンションでお餌をもらっていました。

その猫と顔見知りになり、見つけると、撫でてあげたりして、こちらにも懐いてきたのがわかりました。

「ぼろぼろだけど、首輪をしているから、近所の飼い猫?」思いましたが、あまりにみすぼらしく、常にお外にいる様子からすると、とても誰かに飼われているようには思えませんでした。

 

「迷い猫?捨てられた?」

 

そう思うと、その人懐っこさも相まり、不憫でなりません。家人とも相談し、すぐに保護してあげることにしました。まずは迷い猫の可能性も鑑み、さまざまなところに知らせ、そういった猫の情報を集めましたが、結局該当するような情報はありませんでした。それであれば、いいずれにせよ、このまま保護し続けるしかありません。

もとより、飼う気もまんまんでしたから、何も問題ありません。結果的に、その後も迷い猫等の知らせはなく、その猫はそのまま我が家で暮らし続けることになりました。

 

名前は、きれいな青い瞳をしていたので、青い色をあらわす、「シアン」と名付けることになりました。早速、薄汚れた身体を洗ってあげると、なかなか汚れは落ちなかったものの、どうやらきれいな白猫だった模様。その薄汚れも、何故か生活するうちに自然と落ち、どんどん美しい白になっていきました。頭には少しの柄、そして、しっぽは縞々。あとは真っ白という、少し変わった柄の美人さんでした。

 

性格は保護した当時から人懐っこかったのですが、恐らく捨てられ、きっと外で人に怖い思いをさせられたにもかかわらず、人を信用し、人が好きで、決して人に対し、怒ったり、爪を立てたり、噛んだりすることはありませんでした。これはその後の18年間、決して変わりませんでした。ただ、猫同士に関しては、あまり関心がないようで、猫とことさら仲良くなることはなかったようです。当初は、棒を見ると怖がったり、パンを盗み食いするなど、外にいた時の影響を感じさせましたが、次第にそれも消え、穏やかになっていきました。

 

獣医につれていったところ、避妊はされておらず、推定1歳くらい。その他、幸い病気等はありませんでした。

このシアンは通称「しーちゃん」と呼ばれ、その後、19年以上の長きに渡り、我が家で生活をともにすることになったのでした。

いまも手元にある、ぼろぼろのしーちゃんの首輪