白猫しーちゃんの想い出

寝たきりの美猫しーちゃんの記録

しーちゃんの発病(3)

リアルタイムでの様子と、過去の闘病が交互に入り、分かりづらいかもしれません。すみません。

 

2022年2月を越えられたしーちゃんは、調子が上がってきていたので、再び血液検査をすることになりました。基本的にほんとうに人懐っこく、人には絶対怒らない、危害を加えないしーちゃんですが、時に猫らしく、嫌なことは本当に嫌がります。医療行為はその最たるもので、別段、恐らく痛くもないようなことでも、結構嫌悪感をあらわにします。そういう点では、少し医療に掛かるのが大変な子でした。暴れたり、本気で噛んだり、引っ掻いたりする子に比べれば、はるかに扱いやすいのでしょうが。横道にそれましたが、血液検査も結構嫌がりました。

 

ともかく、数値が出ました。尿素窒素が148から96、クレアチニンが9.45から4.5と、大きく改善していたのです。具合や食欲を見れば、改善をしたのは分かりましたが、正直、もっと改善していたら嬉しかったのにな、というのはありました。とはいえ、非常に危ない数値から、まだまだ高いとはいえ、大きく改善したのは、本当に良い流れでした。いわゆる、腎臓病のステージも、それまでの「4」から、数値上「3」に改善したことになります。

慢性ですと、なかなか大きく改善するのは難しいと思いますが、「しーちゃんが悪化したのは急激だったので、腎臓の疾患も急性であり、これをしのげば、以前並みに改善するのでは?」という期待もしていました。

しかし、なかなかそうは思い通りには進みませんでした。

 

3月に入り、病状は一進一退となります。食欲には非常に顕著に調子があらわれるので、食べた食べないで、本当に一喜一憂していました。必要カロリー量なども念頭に置きましたが、なかなか食欲のない時に、そこまで食べさせるのは至難なことです。

食べない時期には、シリンジで強制給餌も試してみましたが、意思が明確で、嫌なことは嫌なしーちゃんは、なかなか一筋縄ではいきませんん。そのうち、かわいそうになってしまい、強制給餌はほんの数回で諦めてしまいました。その変わり、本当に、入れ替わり、立ち代わり、さまざまなお餌をあげて、少しでも食欲が湧くものを食べさせてあげてきました。

 

ある日、夕食で出た焼き鮭を戯れで少し、しーちゃんのお鼻に近づけると、お鼻をひくひくさせ、目を輝かせました。口元に運んで上げると、がっついて食べるではありませんか!それから、数度行うと、そのたびにきれいに食べてくれます。それならと、しーちゃん用に鮭の切り身を買ってきて、焼いて食べさせてあげたところ、がつがつと食べています。本当は腎臓病用のフードが良いのでしょうが、背に腹は変えられません。

しーちゃんは、主に鮭やサバをよく食べていました。妻がいつも焼いて与えていたため、それを覚えたしーちゃんは、妻が台所に立つと、しーちゃんは目を輝かせて、やってくるようになりました。なかなか元気な姿が見れなかったので、そんな様子のしーちゃんを見るだけで本当に嬉しかったものです。

 

しかし、調子はなかなか上がってはきませんでした。

全体に血色が悪くなっていたため、貧血の症状が出ていると判断し、3月中頃より造血ホルモンの投与を開始しました。この効果は一定あったようで、一時期、やや調子が上向いてくる感じもありました。しーちゃんの調子が上向く兆候は、病前に食べていたドライフードを食べるかどうかで判断できました。調子のよい時は、トライフードを積極的に食べてくれ、「カリカリ」と食べる音がすると、夫婦で喜んでいました。

しかし、この造血剤の効果もあまり続かず、2月に続いて「3月も越えられるか」という雰囲気の中、なんとか4月まで頑張ることができたのです。とはいえ、具合を見る限り、3月初旬の調子は維持できておらず、恐らく、腎臓の数値は悪化しているだろうことが感じられました。

 

このまま、小さくなった命の火は、少しづつ弱まり、いずれ消えてしまうのだろうと、感じ始めていました。そして、食欲も大きく落ち、他に手立ても打てぬまま、4月も半ばに差し掛かりました。

そして、2022年4月21日。恐れていたことが現実になってしまったのです。(つづく)

 

奇跡のしーちゃん(つづき)

しーちゃんは、すっかり意識を取り戻し、反応も確かで、見た目だけであれば、以前と変わらないくらいまで元気になった気がします。ただ、むしろ、少々、テンションが高すぎるところが気になる感じもします。

 

夜もあまり寝ているかわからず、昼夜、目を開けている気がします。大きな声で鳴いて、それはそれでかわいいのですが、人が常に寄り添っていないと寂しいのでは?という感じです。

撫でてあげるとごろごろ喉を鳴らします。昨日、今日あたりは、私と妻の2人で、常に寄り添ってあげていたと思います。

 

さらに、午後くらいには、身動きを取りたいと、一生懸命、這い回ろうとしています。朝方も、ふと気づくと、ハイハイのような感じで1m程度移動していましたが、不自由な身体と裏腹に、自分の意思で動きたくて仕方ないようです。我々で介添えしてあげたり、安全なところでは、自分で頑張れる範囲で、頑張らせてあげたりしました。

 

ただ、2022年4月27日の夕方くらいからはちょっと大人しくなってきました。この二日間くらい、大分テンション高かったので、疲れてしまったのかもしれません。また、食欲含めて、投薬として、ストロイドを投与されていたので、それで、過剰に元気と食欲が出てしまったのかもしれません。なんといっても、もう19歳の重い病気を抱えた身なので、あまり無理してほしくはないので、大人しくなってしまったのは、心配ではありますが、安心な部分もあります。

 

往診医さんの見立てでは、数値的には腎臓病による痙攣発作は考えづらいと、脳腫瘍などの脳疾患による、痙攣発作を疑い、腫瘍もしくは、炎症を抑えるステロイドが投与されています。この3日ほどは発作も抑えられているので、それが功を奏したのでしょう。とはいえ、変わらず腎臓病は重いですし、調べるのも難しい脳疾患が改善されたかは分からないので、表面上は元気になっていますが、なにも油断はできませんし、常に覚悟は必要だろうと思います。

 

なお、腎臓を悪くはしていますが、おしっこはしっかりしています。とはいえ、自分では、できませんので、市販のペット用のおむつをしています。当初は結構失敗をしてしまい、身体を濡らすことを頻発していましたが、付け方を慣れていくと、失敗もほとんどなくなりました。

腎臓も悪くしていますので、まずはおしっこがしっかり出ることは非常に大事なことです。おむつを確認して、しっかりしているのを見ると、ほっと安心します。

 

腎不全、脳疾患を抱え、奇跡を起こし続けてきたしーちゃんは、どのように、この必死に生きているこの生を全うできるのでしょうか。できるだけ先に、そして、穏やかなものになることを願いつつ、まずは、しーちゃんともども、一瞬一瞬を頑張っていきたいと思っています。

 

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奇跡のしーちゃん

リアルタイム(2022年4月27日)のしーちゃんの状況です。

 

奇跡的に声をあげ、意識もはっきりしてきたことを書きましたが、さらに劇的に回復を見せています。けいれん発作のひとつ、遊泳運動はほぼ完全になくなり、手足は動かしますが、それは、「起きて動きたい!」という意思を持って動かしているようです。手足が麻痺しているという状況は分からないでしょうから、意識も回復傾向にある中、思う通りに活動できないのはもどかしいことでしょう。そこはかわいそうなことです。

 

ただ、そのように思えること自体、ほんの数日前からは信じられないようなことです。まさに植物状態のようになってしまっていたのですから。身体は完全に脱力、または硬直し、目を見開き、舌が出っぱなしになって、反応ひとつしないしーちゃんの姿は衝撃的でした。

 

そして、痙攣以降に来ていただいた往診の先生もこの回復に非常に驚いていました。その時は明確には言っていませんでしたが、そもそもとして、命自体が風前の灯火のような状態だったようです。命を繋いだばかりか、痙攣も収まり、意識も大きく回復していったことは、まさに奇跡的なことだったのでしょう。

 

意識が戻ってきて移行、まさにほんの少しの時間ごとに、みるみるうちに、できることが増えていきました。より意識は鮮明となり、呼びかけに反応してくれるようになりました。音や目に映るものにも反応を見せるようになり、徐々に以前のしーちゃんに戻りつつありました。

 

そして、こういった中、「戻ってほしいけど、なかなか戻っていなかった」もののひとつに、「ごろごろ喉を鳴らす」ということがありました。

しーちゃんは元々、人懐っこく、本当によく喉を鳴らす子でした。私もそれに応え、名前を呼びながら、頭、身体を、これでもかと撫でてあげたものです。そして、そういった時は、本当によく喉を鳴らしてくれたものです。

「また、以前にようにごろごろいってくれないかな」、願望がありましたが、きっと難しいのだろうと、思っていました。意識こそ回復したもの、どうも認知は以前とは変わり、はっきりせず、認知症に近いような状態なのかなと思いました。実際、4月21日の発作以降、意味もなく同じところをくるくる回ったり、徘徊するようになり、それと同時に、人に対しての反応も鈍くなり、ごろごろ喉をならすこともなくなったのです。

 

しかし、4月26日、体勢を変えてあげようとし、ふと抱きかかえてあげた時に、ほんのわずか、ごろごろ音がするように感じました。「まさか、また喉を鳴らせるようになった?!」驚きました。それから、ゆっくり、しっかり撫でてあげると、今度はよりはっきり、喉をならすではありませんか!こちらも調子に乗り、さらに撫でると、耳を近づけなくとも、はっきり聞けるほどに喉をならしてくれます。

 

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これ以降、より認知も明確になっていき、痙攣以前のはっきりした認知のしーちゃんに戻りつつあるような感じがしています。思いっきり甘え、寂しいと盛んにこちらを見て声をあげます。したいこと、してほしいことがなんとなくはっきりして、意思表示をしっかりするようになってきました。

 

さらに、水を摂ることすら容易ではない状況だったため、食事を取ることも今は、全く考えられないことでした。しかし、ふと、同居猫に餌をあげた時に、しーちゃんにも匂いを嗅がせたとこと、鼻を動かし、関心を示しました。そこで、少し手にとって舐めさせたところ、しっかり舐めてくれています!これに気をよくした我々は早速、ちゅーるを水でややゆるめにし、シリンジで与えてみました。すると、水を飲むように食べてくれました。

ただ、ちゅーるではなかなか栄養補給はできません。さらに欲を出し、痙攣前になかなか食欲が上がらない中、腎臓への負担が少なく、栄養価も高いということで与えていた、スペシフィックを与えてみることにしました。

 

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もともとペースト上ですが、さらに水をとき、ゆるめにして、やはりシリンジで与えてみましたすると!

これが食べる食べる。腎臓病の影響で、痙攣前でもなかなか食が進まず、本当に苦労し、スペシフィックにしても、そう、たくさん食べてくれたわけでもないのですが、シリンジの先にかぶり付くほどに、がっついてくれました。結局、何回かに分け与えたお餌を全て食べきってしまいました。その日(4月26日)は結局、朝晩と与え、スペシフィックを恐らく60gくらいは食べてくれたと思います。痙攣前の、自分で食べられていた時でも、これだけのカロリー量を摂取するのは苦労したので、寝たきりのいま、これだけ食べてくれたのは凄いことです。幸いにも、腎臓の具合は良いのかもしれません。

しーちゃんは「しっかり食べる」というハードルもクリアしてくれました。

しーちゃんの発病(2)

定期的に健康診断を受けていることに安心をして、より迅速に診てもらわなかったことを後悔しました。やはり高齢ですし、急激に悪化することも想定して、すぐに医療に掛からなければならないと痛感しました。

早速、往診医による検査と、その結果により、治療が開始されました。基本的には輸液投与なのですが、状態が悪いということであまり間を開けずに実施していくこととなりました。往診は非常にありがたいのですが、往診料がやはり嵩むので、頻繁に来てもらうことは大きな負担となります。とはいえ、そうは言っていられない状況ですので、この時期は、隔日くらいでは来ていただいていました。

腎臓を悪くしていますので、おしっこがしっかり出ているかは非常に重要であり、また、食欲も低下していますので、体力低下を防ぐために、できるだけ食べてもらうことにも腐心しました。また、やや血尿ぎみであり、トイレに頻繁に行くながらあまり出ていない、ということも見受けられたので、膀胱炎と判断され、炎症を抑える投薬も始められました。

 

この時期、一番怖かったのが、「尿が出なくなったらどうしよう」ということでした。実際、膀胱炎の影響もあり、トイレに何度も入り、なかなか尿がでにくそうなところも見受けられました。なので、常にしーちゃんがおしっこをしているかは、いつも気をつけ、ペットシートの重さをいつも計っていたものです。

また、やはり食欲のなさには困っていました。兎に角、まず何かを食べさせなければいけないので、さまざまなフードを買ってきて試し、また、必要なカロリー量を確保しなければいけないので、高カロリーな腎臓病向けウェットフードや、ミルクを試したりしていました。

 

当初は、2月を越せないのではないか、と危惧しましたが、次第に調子は回復していき、腎不全特有の臭いも減り、食欲も、食欲のない時期にはほとんど食べてくれなかったドライフードを再び口にしてくれるようになってきました。そしてなにより、ぐったりしていたのが、以前とほとんど変わらないくらいまで元気が出てくるようになりました。

 

以前の元気な時は、しーちゃんは、居間の一角で寝たり、私と妻の寝室に来て、私の枕もとで寝てくれたりしていました。しかし、この具合の悪かった時期は、居間の一角の寝床で動かず、あまりに心配なので、居間の布団を敷いて、一緒に寝たものです。しかし、再び元気になってからは、また、さまざまなところに移動し、寝てくれるようになったので、私も再び安心して、寝室で眠ることができるようになりました。

 

すでに、危ぶまれた2月は越え、3月に入っていました。しーちゃんが桜を見るのは難しいだろう、と思っていましたが、可能性がでてきたような気がしました。(つづく)

しーちゃんの昨夜、そして今朝

おととい、緩和ケア、ターミナルケア専門の医師に来ていただき、適切な投薬を処方、ご指導いただきました。発作が起きないようにできるだけ鎮静させるか、発作のリスクを取ってもできるだけ回復を目指すかの選択を委ねられ、後者を選択しました。この辺の詳細もまた書きたいと思います。

 

ともかく、一昨日の夜より、新たな投薬を開始しました。ステロイド剤をメインとした投薬となっています。万一発作が起きた時には、痙攣止めも渡されており、状態をみてコントロールしていかなければなりません。大きな発作が再び起こらないことを祈るばかりでした。

 

一昨日から昨日にかけ、手足をばたつかせる軽い遊泳運動はあるものの、特に苦しんだりすることもなく、時折、おとなしくなり、眠りにつくなど、概ね平穏に過ごしました。水は時々、シリンジで与え、おしっこは一日通し、結構な量を出してくれていました。

 

そういった中、突然に声をあげたのは、本当に驚きで、予想もしていなかった喜びでした。

 

 

意識も乏しく、ほとんどコミュニケーションも諦め、声は聞けないと思っていたので、本当に嬉しかったです。ただ、腎臓病は重く、脳に疾患があるなら、当然根本原因が解決したわけでもなんでもないので、油断はできないですし、過度な期待もよくないと思っていました。

 

遊泳運動はやや少なくなってきましたが、夜には一時、少し動きが激しくなってきて大きな発作が怖かったので、一応、痙攣止めを早めに投与しました。こちらは、すぐに効果が出て、幸い大きな発作につながることはありませんでした。

 

夜の分の薬剤も投与し、比較的しーちゃんも大人しかったので、昨夜はみなこれで眠りにつきました。

そして、突然!3時頃に再びしーちゃんが声を上げました!どちらかというと、痙攣の発作かと思い慌てて飛び起きたのですが、そうではなく、意識がはっきりしてきたようでした。ひとまず、のどが渇いたのかと、水をあげると大人しくなりました。声を掛けると、しっかりお返事をしたので、意識がかなり回復してきたようです。朝方にかけ、遊泳運動もほとんどなくなっていきました。むしろ、手足を動かしていましたが、それは、自分の意思で起き上がろうと

しているような感じに見えました。そして、恐らくそうなのでしょう。この夜は、結局、計3度、しーちゃんの声で起こされました。

 

そして、翌朝。

より意識がはっきりしてきたようです。呼びかけにもしっかり応対していました。手足は動かしていますが、痙攣のようなものではなく、まさに起き上がりたいというような感じの動きでした。少し上体を起こしてあげると、少しふらふらしますが、しっかりしています。そして、今日はお天気で日差しがでてきました。日向が大好きだったしーちゃんは、なんとなく、日向ぼっこをしたいのかなと感じ、陽の当たる場所に移動させてあげました。

そうしたところ、やや落ち着きがなかったのか、すっかり大人しくなり、気持ちよさそうにしています。これまで、午前中は、もっぱら陽の当たる場所で休んでいたしーちゃん。しっかりした意識の中、また再び、以前のように、日差しの中で穏やかに休んでくれています。

 

またしーちゃんが奇跡を起こしてくれたのです。

 

 

しーちゃんの発病(1)

しーちゃんは15歳、16歳と年齢を重ねても元気そのもの。少し多飲多尿傾向はあるものの、食欲もあり、毛艶や表情も変わりなく、さほど衰えは感じさせませんでした。また、2017年に亡くなった先住猫のくろ丸が腎臓を悪くしたのが死亡原因となったので、早めの対応ができるよう、半年毎に健康診断を受け、十分気をつけていました。また、食事も、くろ丸が患った時に、ロイヤルカナンの療養食に切り替え、しーちゃんもそのままそれを食べていました。

 

2022年に入り、少し気になる兆候がありました。それは、しーちゃんがくしゃみをし出したのです。そして、それにあわせ、食欲も低下していったのです。とはいえ、くしゃみ程度でさほど元気が無いわけではなく、風邪の様子を注視し、きっとよくなれば、食欲も戻るだろうと、期待をしていました。ところが、くしゃみが収まっても食欲低下は一向に改善されません。そればかりか、次第に元気もなくなっていき、腎臓の悪化で発生する口臭もあり、明らかに腎臓の状況が悪くなっていることが分かりました。前年12月の時点では、健康診断で治療を要するような指摘はなく、年明けの感染症をきっかけに、急性に近い形で腎臓病が悪化してしまったのかもしれません。

 

すぐに医療に掛かる必要はありますが、しーちゃんは外出が苦手。半年毎の健康診断も一苦労しています。高齢で、患っている中、連れ出すのは危険と判断し、往診の先生に来てもらうことにしました。くろ丸の時も往診に掛かっており、猫の負担が非常に少なく、助かっていました。ウェブで調べたところ、その自分よりも往診医が増えており、選択肢が豊富になっていました。

 

早速往診医に来てもらい、調べてもらったところ、想像以上に悪い結果だったのです。尿素窒素148、クレアチニン9.45。血液の状態は悪くはなかったものの、これらの数値は腎臓病のステージ4と言われ、非常に危険な状態でした。結果的に、しーちゃんはこの危険を脱しましたので、まずここで一回、奇跡を起こしてくれた、と言ってもよいと思います。(つづく)

しーちゃんとの出会い

2004年の春。当時住んでいた江戸川区のマンション。

「ペット猫のみ可」という、あまりない触れ込みに興味を持ち、住み始めたが、やはりそういった条件を出すくらいなので、家主も猫好きらしく、外猫が多く、マンション周囲には出入りしていました。さまざまな猫が出入りしていたが、よく現れる猫は、しばらく住んでいると見当がつくようになってきた。

そんな中、あまり見かけない一匹の猫が、突然姿を現したのでした。

 

薄汚れた、グレーの混ざったような色の猫。首には、ぼろぼろの首輪を付け、顔を見ると鼻先に少し傷が。外でいじめられたのかもしれない。ただ、人にはとても懐っこく、ほかの外猫たちといっしょにマンションでお餌をもらっていました。

その猫と顔見知りになり、見つけると、撫でてあげたりして、こちらにも懐いてきたのがわかりました。

「ぼろぼろだけど、首輪をしているから、近所の飼い猫?」思いましたが、あまりにみすぼらしく、常にお外にいる様子からすると、とても誰かに飼われているようには思えませんでした。

 

「迷い猫?捨てられた?」

 

そう思うと、その人懐っこさも相まり、不憫でなりません。家人とも相談し、すぐに保護してあげることにしました。まずは迷い猫の可能性も鑑み、さまざまなところに知らせ、そういった猫の情報を集めましたが、結局該当するような情報はありませんでした。それであれば、いいずれにせよ、このまま保護し続けるしかありません。

もとより、飼う気もまんまんでしたから、何も問題ありません。結果的に、その後も迷い猫等の知らせはなく、その猫はそのまま我が家で暮らし続けることになりました。

 

名前は、きれいな青い瞳をしていたので、青い色をあらわす、「シアン」と名付けることになりました。早速、薄汚れた身体を洗ってあげると、なかなか汚れは落ちなかったものの、どうやらきれいな白猫だった模様。その薄汚れも、何故か生活するうちに自然と落ち、どんどん美しい白になっていきました。頭には少しの柄、そして、しっぽは縞々。あとは真っ白という、少し変わった柄の美人さんでした。

 

性格は保護した当時から人懐っこかったのですが、恐らく捨てられ、きっと外で人に怖い思いをさせられたにもかかわらず、人を信用し、人が好きで、決して人に対し、怒ったり、爪を立てたり、噛んだりすることはありませんでした。これはその後の18年間、決して変わりませんでした。ただ、猫同士に関しては、あまり関心がないようで、猫とことさら仲良くなることはなかったようです。当初は、棒を見ると怖がったり、パンを盗み食いするなど、外にいた時の影響を感じさせましたが、次第にそれも消え、穏やかになっていきました。

 

獣医につれていったところ、避妊はされておらず、推定1歳くらい。その他、幸い病気等はありませんでした。

このシアンは通称「しーちゃん」と呼ばれ、その後、19年以上の長きに渡り、我が家で生活をともにすることになったのでした。

いまも手元にある、ぼろぼろのしーちゃんの首輪